前職では、約10年にわたって製造業に対するインフラシステムの開発、保守業務に携わっていた。顧客は素材産業で24時間365日休まず動き続ける高度な生産管理システムが整っていることもあり要求は常に厳しいものだった。私はベンダー側のPM(プロジェクトマネージャー)として、案件の推進だけでなく業務効率化にも熱心に取り組んでいたが、安定稼働が当たり前で、障害が起きると責められる風土にチームは恒常的に疲弊していたと思う。私自身も責任感が強い性格がゆえに、自分を追い込んでしまった。
転職を決意した後は10社ほどの企業に応募した。一度はまったく違う仕事に移ることも考えたが、裁量権を持ってものづくりを推進するPMの仕事に魅力を感じていることに改めて気づき、IT業界に絞り込んだ。尊敬できる上司、成長意欲がある同僚がいるかが転職を決める上で譲れない条件だった。その中でも日本総研に惹かれたのは、後に私の上司となった面接官から相手への気配りや温かさを感じたためだ。面談の場では仕事内容や職場の雰囲気を伝えてくれただけでなく、私の質問に丁寧に対応してくれた。また、話を通じて面接官自身の仕事に対する真摯な姿勢、成長意欲を感じることができ、この会社なら信頼できると思い入社を決意した。
入社後、三井住友カードのインフラを担う部署に配属された。入社後に驚いたのは、社員一人ひとりの仕事に対する責任感の強さだ。特に上司をはじめとするマネジメント層の当事者意識は非常に強く、役員が自ら現場に出向き、率先して問題解決に動いてくれることに驚いた。
また、日本総研はベンダー企業とはパートナーとして対等な関係を築いており、建設的な議論のもと、よい「ものづくり」に邁進できる環境がある。プライムとしてプロジェクトに責任を持つ日本総研と開発を担うベンダーの双方の考え方や価値観を理解できる者として、互いをつなぐ架け橋になれるように努めている。また、前職で培った技術力を活かしてベンダーの提案に対する目利き、メンバーに知識の共有ができることも自分の強みだと感じている。
一方、入社してから学ぶことも多い。転職後は担当するプロジェクトの規模が大きくなっただけでなく、複数の大規模案件を併走して進めるため、ステークホルダーの人数も大幅に増えた。メンバーやユーザーに能動的に動いてもらえるよう働きかけることを意識するなど、プロジェクトを推進する姿勢は大きく変わったと感じている。この経験を踏まえ、これまで自己流だったプロジェクト管理の手法を体系的に学ぶために、研修にも積極的に参加している。主体的に動けるメンバーが多いため、自分が出来ない点をあえて積極的に共有し、周りの助けを得ながらチームで最適化を図るスキルも身についてきた。
これらの経験をもとに、三井住友カードのDB更改プロジェクトを障害なく完了することができた。システムに影響が大きいプロジェクトだったため、緊張感を持って業務にあたっていたが、移行当日は大勢の方々が見守ってくれていた。周囲のおかげで安心して移行業務を行うことができただけでなく、移行が完了し、関わった人達と喜びを分かち合うことができた。本当に転職してよかったと感じた瞬間だった。
「守りのIT」は、すべての仕事ができて当たり前と思われることがあるが、決して「当たり前」ではない。システムに関わる多くの人々が一丸となり、繊細な注意を払い、皆が助け合っているからシステムは動くのだ。日本有数の大規模な金融システムを守ってきた日本総研だからこそ、その「当たり前」を皆でたたえ、感謝し合う温かなカルチャーが根付いてきたのだと思う。
また、若手社員が裁量権のある仕事を任され、自律して働いている点も日本総研の強みだと思う。そのカルチャーを担う一人のPMとして、若手社員が安心して活き活きと活躍できる職場づくりを目指していきたい。