新卒ではITの力で企業や社会をよりよくしたいと考え、大手のSIerを選んだ。入社後は生命保険会社の業務システムを担当する部署に配属され、経験を積んだ。ミッションクリティカルなシステムに対応する業務は学びが多く、やりがいを感じていたが、大規模であるがゆえに意思決定レベルから離れた現場での業務が常であり、もどかしい思いを持つことも少なくなかった。
当初の想いや将来のキャリア形成を考え、システム対応で得た知見を他の領域で生かせるのではないかと思い始めた頃、たまたま大学の先輩と再会する機会があった。話を聞くと日本総研でコンサルタントとして勤務しており、年次が浅いながらもさまざまなプロジェクトの創出に携わり、クライアントの意思決定をサポートしていると言う。熱心に近況を語る姿に影響を受け、転職を意識するようになった。
転職したいと考えたのは「コンサルティングファーム」ではなく「日本総研」だった。先輩が生き生きと仕事に取り組んでいる様子を知り、自分もそこで働きたいと強く思ったのだ。しかし選考が進むにつれて、コンサルティング経験がない自分にやっていけるのかという不安を改めて感じるようになった。コンサルタントは自律的に活動し、かつキャリア入社組であれば即戦力としての活躍が求められるイメージがある。大規模組織の経験しかない自分に果たして務まるのか。面接の場でその不安を打ち明けると、どの社員からも「これまでの経験は必ず活かせる」「簡単とは言わないが熱意があれば成長できる」といった答えがあり、ここで自身のキャリアを伸ばしたいと入社を決意した。
実際に入社してみると、まずは自らの力で取り組んでみる姿勢が大切である一方、困ったことがあればいつでも周囲に相談でき、サポートを得られる環境であった。キャリア入社の社員だからといって、全てを個人に背負わせることはない。誰もがお互いを尊重し、年齢や経験を問わずに挑戦の機会が与えられる。周囲もこれを応援するマインドを持っており、その集合体として日本総研の社風が醸成されていることを実感できた。異業種からの人材を組織としてフォローする体制や、業務に習熟するための育成の仕組みも整備が進んできている。
私は2023年4月に都市・モビリティ デザイングループへ異動した。それまで所属していたグループではSIerでの経験を生かし、官公庁のデジタル系アドバイザーや民間企業の業務改革、DX戦略策定、システム調達等の支援を担当していた。異動の契機は自分の妊娠・出産にある。子育てに関するさまざまな情報に接し、妊娠・子育て、病気や障がいを持つ子やその家族へのサポートなど、多くの社会課題があることを知った。自分がコンサルタントとして力を付ければ社会課題について問題提起し、課題解決に貢献できるのではないか。また、都市やモビリティ分野は、「スマート化」を急速に進めており、これまで実績を積んだデジタル領域の知見を生かすことができるはずである。そのように考え、新しい暮らし方・まちづくりに関するテーマを扱うグループへの異動を希望したのだ。
都市・モビリティ デザイングループのミッションはMaaS、CASE、スマートシティに関する戦略策定支援や都市開発のアドバイザリーである。グループで取り組んでいるプロジェクトの1つに「ウェルビーイング」なまちづくりが挙げられる。「まちに住む人・訪れる人が、心身ともに満たされた状態で生きること(ウェルビーイング)」が目指すべきスマートシティの姿と考え、現在、100を超える企業や大学・研究機関、自治体がコンソーシアムを組成して「ウェルビーイング」の実現に向けた実証を進めている。日本総研は本コンソーシアムへのアドバイザリーおよび事務局運営を担っており、そのなかで私は、これまで培ってきた知見を生かし、モビリティ事業のDX領域を担当する。コンソーシアムでは、白杖や車いすをお使いで、移動に困難を抱える方の課題解決も1つのミッションとなっている。今後も、「ありたい姿」を社会実装するまでの道のりを共に歩んでいきたいと考えている。
日本総研では組織全体でコンサルタント一人ひとりの自主性を重んじており、キャリアプランに関しても自分の想いに従った選択をすることが可能だ。私としても、領域の異なるグループに異動することに関しては不安があり、これまでお世話になった周囲に対する申し訳なさも感じていたが、「やりたいことをやるのが一番」と背中を押していただき、異動を決断できた。興味・関心の変化にも寛容な環境であることを改めて認識した。
働き方についても「ハードワークをいとわず早期にキャリアアップしたい」「子育てや介護、大学院進学のために一時的に業務量を調整したい」など、個人の希望が尊重される。私自身、20代は昼夜を問わずプロジェクト最優先の日々であったが、現在は周囲の協力を得ながら、夕方にはPCを閉じて家族と夕食を囲み、子どもと入浴して寝かしつける生活を送っている。しばらくは子どものサポートに注力し、落ち着いたら再び仕事でのチャレンジを増やし、コンサルタントとして成長を続けたいと考えている。