グループのIT分野における専門組織として、
技術の「目利き役」を担う。
先端技術ラボが設立された背景について教えてください。
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Aida
IT分野における技術革新が加速している今、技術の本質を正しく見極めることが、企業経営においてますます重要視されるようになってきています。このような背景から、2017年に先端技術の調査・研究を行う専門組織として、先端技術ラボが設立されました。「技術の目利き役」として、先端技術の調査・研究、技術検証から得られた知見を元に、SMBCグループの事業に貢献することが私たちのミッションです。
先端技術ラボが担うミッション「先端技術リサーチ」「先端技術の評価・検証」について詳しく教えてください。
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Mase
私が所属するリサーチのチームでは、先端技術の動向調査や活用事例の評価はもちろん、その中から有益な技術を見極め、考察をまとめたレポートを発信しています。我々のリサーチ対象は、金融分野に留まらず幅広い分野のIT領域全般です。金融ITの分野ではAI(人工知能)の技術研究が盛んですが、私は量子コンピュータの専門家として技術をリサーチし、その成果をセミナーや記者勉強会、書籍や自社ホームページなどを通じて社内外に発信しています。加えて、SMBCグループにおけるテクノロジー、システムに関わる戦略会議の事務局、グループ各社から寄せられる技術相談も行っています。
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Aida
我々は事業会社の調査・研究組織ですので、特定の製品やサービスにとらわれない中立的な立場から、各メンバーの高い専門性に基づいた意見や考えを尊重して研究テーマや取組方針を決めています。もちろんその研究がSMBCグループの事業に貢献することが大前提になりますが、最近では当グループにおいても金融という枠を超えて様々なサービスを提供するようになってきており、我々の研究対象も必ずしも金融という枠にとらわれずに選定しています。Uchikoshiさんが所属する技術検証チームでは、特にAI(人工知能)の技術検証に注力しています。最近では各グループ会社との連携機会が増え、ビジネスの現場との関係性が強まりつつありますね。
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Uchikoshi
はい、各社とのつながりが生まれ、効果的な協働となる機会も増えてきました。例えば、私の研究領域であるAIの異常検知の分野は、検知精度が十分であっても、AIが導き出した結果の背景や理由が分からない、いわゆる「AIのブラックボックス化」という課題に直面することがあります。そうしたAIの解釈性について、ビジネスの現場の知見を活かしながら柔軟に課題解決に向かうことができることは、我々の大きな強みであると考えています。そうした協働の中で新しい観点が生まれることもあり、進行中のプロジェクトへの実装を提案することもあります。
技術検証チームでは、プロジェクト以外の技術の深堀りにも注力しています。中長期的にビジネスインパクトが大きいと予想される技術を見定め、関連する論文を読み、実装するなどして知見を増やし、レポートや記事にまとめて発信します。また、プレゼンス向上を目的に、論文発表や外部コンペへの参加などにも積極的に取り組んでいます。
研究と、ビジネス。
両方の側面を持つユニークな組織だからこそ、できること。
先端技術ラボでは、どのような人材が求められていますか。
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Aida
我々の組織において最も重要なのは、メンバー一人ひとりの技術力です。ただし、技術は日進月歩で進化するものです。経験者採用ですので専門領域における実務経験に加えて、新しいことを貪欲にかつ継続的に学んでいく姿勢、いわゆる「ラーニングアニマル」であることを重要視しています。会社全体でも自律的に学ぶ社員を支援しており、ドクターを目指す方の学費補助など積極的に学ぼうとする方の支援を充実させています。
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Mase
私は、「考える」ことを継続的に出来る人ではないかと思っています。ラボは「自主自律」が原則の組織です。リサーチの仕事で言えば、単に情報を集めていても意味がなく、どのような情報が必要か、どういう仮説が考えられるか、何をどのようにアウトプットすればいいのかを常に自分で検討し、学び、行動していく必要があります。
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Uchikoshi
自分の興味・関心を広げることに積極的な方が向いていると感じました。先端技術の研究は専門性が高まるほどに領域が狭くなりますが、専門領域以外の分野にも関心を向けた方が、活動できる範囲も広がり結果的に自身が楽しんで働けるのではないかと思います。
働く上での先端技術ラボの魅力について教えてください。
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Aida
先端技術ラボはIT分野の高度専門人材からなる組織という側面がある一方、先端技術を活用したビジネス創出支援をミッションに持つ組織ですので、アカデミア貢献と事業貢献の両方ができる、という面白さがあると思います。現在、研究職で自分の研究をビジネスに活かしたいと考えている方、またはビジネス寄りのポジションにいるエンジニアの方で、より先端技術の研究に取り組みたいという志向をお持ちの方を歓迎したいですね。また、メンバーの対外活動にも注力しているので、個人のブランディング構築をお考えの方にも最適な環境だと思います。例えば、Maseさんは国が主催するプロジェクトの技術審査員に任命されていますし、Uchikoshiさんは人工知能学会の全国大会で優秀賞を受賞するなど、外部機関でも個人の活躍が評価されています。
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Mase
様々な機会をいただいてリサーチ活動の発信を行っていますが、発信することでフィードバックをいただき、さらに情報が集まってくるという好循環が生まれ、ラボにとっても自分にとってもプラスになっていると感じます。社外で評価されることで、グループ各社から一緒にやらないかと声を掛けてもらう機会が増えました。多様なバックグラウンドを持った方々と意見交換をする中で人脈が拡がり、それがまた次のリサーチのヒントにつながっています。
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Uchikoshi
技術検証チームにおける魅力は、一つの専門領域にとどまらず新しい領域にチャレンジできる点だと思います。担当者の裁量が大きいだけでなく、新しい領域へ挑戦したことを評価する風土、優秀な部員のサポートを得られる環境が新たなチャレンジに向かうモチベーションを高めてくれています。
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Aida
エンジニアは自分の興味・関心に沿う技術テーマに熱中して取り組んでいる時に、最もパフォーマンスを発揮するものだと私は考えています。メンバーにはSMBCグループを技術力で牽引するエンジニアとして一人ひとり責任を持っていただいた上で、自由な発想に基づいて活動してもらっています。
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Uchikoshi
社員の自律した働き方を支える仕組みとして、先端技術ラボでは「20%ルール」という制度があります。業務時間の20%を将来的に芽が出そうな技術領域のリサーチや技術検証に充てられるというもので、発想の源泉となる「種」を見つけることにつながっています。異常検知技術は様々な観点による知見が役に立つため、関連技術を学ぶ上でこのルールがとても役立っています。
最後に、Aidaさんから転職者の方へメッセージをお願いします。
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Aida
私は、先端技術ラボのメンバーに「国内トップレベルのエンジニアを目指そう」と常に話しています。対外活動による個人のプレゼンス強化も、自分の立ち位置、ベンチマークを把握していただくことを目的に行っています。メンバー一人ひとりが専門性を持った強い個人の集団となり、組織も個人も共に成長できる。そのような組織を目指してこれからも取り組んでいきます。先端技術を用いて新たなビジネスの可能性を切り拓きたいと考える方に、ぜひお会いしたいと思います。