スーパーアプリ「Olive」
開発の
中核を担う。
20代中心の
内製チームが取り組んだ
大規模プロジェクト。

01

イントロダクション

2023年2月にリリースされた三井住友銀行、三井住友カードの「Olive」。その主要機能の一つを担ったのが、日本総研のSMBCアプリ内製チームです。このチームの特徴は担当機能のほとんどをアジャイルの手法による内製化、つまり自らの手で作り上げたこと。限られた時間の中、三井住友銀行のみならず、三井住友カードの社員とも連携して、過去にない規模のシステム開発に取り組んだのは文系出身者も含む20代中心の若いメンバーたちでした。

MEMBER

  • Takeuchi 2017年
    新卒入社
    数学科専攻

    開発チームの「プロダクトオーナー」として、本案件の内製開発部分の見積からローンチまでを担う。入社後は銀行勘定系システムを担当後、スタートアップ向けシステムやSMBCアプリの開発に従事。現在は内製チームのリーダーとしてSMBCアプリ・アプリサーバの開発を推進する。

  • Okamoto 2017年
    新卒入社
    情報科学科専攻

    内製チームの「スクラムマスター」として、本案件におけるアジャイル開発を牽引した。入社後は銀行の勘定系システム開発に従事し、その後、現部署に異動して多様な案件を担当。2021年から「スクラムマスター」としてチームをリードしている。

  • Yamada 2021年
    新卒入社
    システムデザイン研究科専攻

    本案件の「プロダクトオーナーサポート」として、主にステークホルダーとの調整を担う。法人ビジネスグループを経て内製チームに異動し、経験を積んだ後は自身が目指していた「Olive」チームへ部内異動。VポイントとTポイントの統合案件に参画。

  • Uehara 2022年
    新卒入社
    社会情報科専攻(文系学部)

    社内研修や外部研修でプログラミングなどの技術を習得。銀行アプリ開発やVポイントとTポイントの統合案件で経験を積んだ後、内製チームに参加。現在はSMBCアプリやアプリサーバーの開発・保守を担当している。

  • Hama 2023年
    キャリア入社
    情報理工学専攻

    前々職ではゲームのスマホアプリ開発、前職ではオンラインスクールの立ち上げに携わる。内製チームでは案件管理を担当し、並行してiOSアプリの開発なども行っている。

02

SMBCグループの戦略を
ITの力で支える

「Olive」のアプリ開発とはどのようなものだったのでしょうか。

Takeuchi

SMBCグループが展開する個人向け総合金融サービス「Olive」のコアとなるSMBCアプリの開発を、私たちのチームでも担当しました。「Olive」にはさまざまな機能がありますが、私たちが携わったのは主にアプリ内の「フレキシブルペイ」機能の部分と「Vポイント」の部分、それから住所変更など銀行とカードの手続きを一括でできる「一括諸届」の部分です。キャッシュカードとクレジットカード、ポイント払いなどの支払い方法をアプリ上で切り替えられる「フレキシブルペイ」は「Olive」で最も特徴的な機能です。

Okamoto

本当に大きな案件で、インターネットバンキングのSMBCダイレクトやクレジットカードのVpassなどさまざまなシステムが連携するため、「Olive」の開発には他のシステムの所管部署や外部ベンダーも関わりました。また、ローンチの日は既に公表されていたので、限られた時間の中で本案件を推進していく難しさもありました。日本総研はSMBCグループ各社のシステム開発を長年手がけてきましたので金融の業務知識や既存システムの知見は十分にありましたが、ここまで大規模なスマホアプリの開発に内製チームとして参画するのは初めてのことでした。

Takeuchi

SMBCグループのリテール戦略を担う案件でしたので失敗は許されません。仕様が決まって私たちの開発が始まったのが2022年初め、ローンチが2023年3月というタイトなスケジュールで、最初は本当にできるのかと思いました。本案件を進める上でチームの規模も大きくなり、メンバーの中には大規模開発やアジャイル開発が初めてという人もいて、私はチームのリーダーという立場から開発と人材育成を同時に進めることが求められていました。

Hama

私は日本総研に中途入社する前にゲームアプリを開発していましたが、SMBCアプリは要件もデザインも厳格で規模も桁違いです。外部のいくつものシステムとの連携など初めて経験することばかりでした。

Yamada

私は内製開発の経験を積みたくて、2023年に社内公募でチームに異動してきました。アジャイル開発の経験がまったくなかったので最初は戸惑いましたが、Oliveでは先輩方の指導の下で案件管理を行い、Oliveローンチ後のVポイントとTポイントの統合案件では立ち上げから設計、開発、テスト、移行、リリースまで一気通貫で経験させてもらいました。

Uehara

私は大学が文系だったのですが、プログラミングができる人材になりたくて研修が充実している日本総研に入社しました。入社1年目にアジャイルの基礎を学んだものの、当初は理論が頭に入らずに苦労したことを覚えています。それでも三井住友銀行のアプリ開発やアプリサーバーの案件などを通じて経験を重ね、「Olive」開発という社会的な影響力の大きなプロジェクトにも参画できるようになりました。

Takeuchi

アプリ開発やアジャイル開発の経験レベルはさまざまでしたが、これまで世の中になかったアプリを作るという明確なゴールがあったから、チームが一丸となって力を発揮できたと思います。

Okamoto

インターネットバンキングだと、スマホアプリが使えない時もSMBCダイレクトのウェブサイトから手続きができますが、「Olive」は基本的にスマホアプリを想定したサービスで「フレキシブルペイ」の機能もアプリにしかない。アプリが動かないと使えなくなってしまうわけで、チームが抱えるプレッシャーはこれまでにないレベルで高かったと思います。より高い品質が求められる中、さまざまなステークホルダーと膝を突き合わせながら慎重に開発を推進していきました。

03

ベストのものを最速で作る、
そのために内製化

大規模なシステム開発、しかも時間が限られる中で、それでも内製にこだわったのはなぜでしょうか。

Takeuchi

ITの進化と共に金融も急速に変化しています。SMBCグループのシステム開発・運用を担う日本総研のITソリューション部門としても、その変化に対応していかなければなりません。大規模システムの開発は作業量が膨大で、外部委託が多くなるのが一般的ですが、外部との連携にはどうしても時間や手間がかかるため、開発中に仕様変更を行うことも難しくなります。内製化には技術やノウハウを蓄積・共有できるメリットもあります。日本総研として金融システムの多様なノウハウを持つことでSMBCグループのIT戦略を支えると共に、日本の金融サービスにも貢献できると考えています。

Okamoto

スマホアプリの内製チームは以前からあって、大規模ではありませんがさまざまな案件に取り組んできました。技術力も高まり、日本総研としても内製を拡大しつつあったところに「Olive」がやってきた。私たちの力を試すチャンスでした。

Takeuchi

今までとはまったく違う規模の開発でしたが、要件調整から開発まですべてチーム内で行いました。必要に応じて各種ステークホルダーとの要件調整の打ち合わせから開発担当メンバーに加わってもらい、情報の理解や共有を図りました。Yamadaさんに最初から中心的な役割を担ってもらったことはその一つです。また、プロジェクト開始後に加わったHamaさんや経験の少ないUeharaさんに早く慣れてもらうためにも必要と考えました。

Yamada

日本を代表する金融システムだけあって規模が大きいだけでなく内容も複雑で、それを理解するのがまず大変。自分にできるのかと思いましたが、挑戦したい気持ちもありました。開発を進めながら銀行側と話し合い、要件調整をした上でそれをまた開発に反映する、二足のわらじ、三足のわらじ状態で常にバタバタと仕事をしていましたが、開発に参加している、プロジェクトを動かしている実感がありましたね。

Takeuchi

内製していると外部との調整もしやすくなります。「Olive」は多くのシステムが連携するのでいろいろな会社と打ち合わせを重ねなければなりませんが、開発状況を分かっている人が参加するとその場で判断できます。日本総研はSMBCグループの一員なので、「Olive」開発を主導する三井住友銀行にも「この機能は本当に必要ですか、もっとこうした方がよくないですか」と本音レベルの問いかけができます。こうした関係はグループの強みにもなっていると思います。

Okamoto

自分たちで課題を見つけて解決策も示せるのは内製の強みですよね。日本総研のシステム開発では、外部のベンダーに開発を委託することもあります。その際は、銀行とベンダーの間に立ってプロジェクトマネジメントを行っています。そのため銀行とベンダーそれぞれの考えを理解し、すり合わせていく点が難しいところです。私たちの場合は、チームメンバーが直接銀行とやり取りし、開発者の視点でより良い解決策をスピーディーに提案できるので、コミュニケーションコストが低い点がメリットだと感じています。

04

個人の力を活かしつつ、
でも一つのチームとして
進んでいく

チームとしてどのような形で開発に取り組まれたのでしょうか。

Yamada

先ほど、常にバタバタと仕事していたと言いましたが、私一人で全部やっていたわけではないんです。これもこのチームの良さなのですが、私がサポートを必要とする状態にあることに気づいてもらえると、他のメンバーがみんなでうまくカバーしてくれました。

Takeuchi

私たちのチームでは数年前からシステム開発にアジャイルの手法を導入していました。開発状況や課題を常にみんなで共有し、解決してきた経験が生きたと思います。

Hama

開発チームによってはコミュニケーションがうまくいっておらず、質問しにくいケースなどもあります。日本総研は本来のアジャイルの形ができていて、TakeuchiさんやOkamotoさんにすぐ聞けるし、若い人が多いチームで話しやすく、参加した時からコミュニケーションは困らなかったですね。

Okamoto

「Olive」は既存機能と比べてかなりUI/UXにこだわっていて、中でも「フレキシブルペイ」のトップは、支払モードを変更するとクレジット・デビット・ポイント払いの各モードが切り替わっていくアニメーションとなっています。SMBCアプリでここまで複雑なアニメーションを実装したことがなかったため、開発は本当に手探り状態で、チーム全員で協力しながら最後は気合で作り上げていきました。

Takeuchi

気合いも大事です(笑)。

Okamoto

残業もありましたけど、でもメリハリはきちんとつけていました。そこはやっぱりチームで動くことの良さで、自分が休んでも必ず誰かが埋めてくれると信頼できる。だから休む時はしっかり休み、自分が動く時は頑張ろうという気持ちで仕事に取り組むことができました。

Hama

自分もそうでしたが、開発途中で入ったメンバーが困らないようになっていますよね。今まで参加した開発チームの中で一番いい環境だと思いました。どうすればいいか困った時に誰にも聞けずに抱え込んでしまうエンジニアの方もいるとは思いますが、日本総研の内製チームでは一人で悩むことがない。そこが全然違うと思いました。

05

若くても経験が乏しくても、
プロジェクトと共に成長できる

入社1〜2年目のメンバーも活躍しました。どのような環境や仕組みがあったのでしょうか。

Takeuchi

日本総研が携わっているシステムは金融に関わる重要なものが多く、銀行やカード会社の業務系が中心になります。一般のお客様との接点があるシステムの開発もしていますが、「Olive」ではスマホ画面でアニメーションが動いたり、直感的な操作で機能を切り替えられたりするなど、従来より一層UI/UXにこだわったシステム作りが求められました。

Okamoto

「Olive」はTVのCMで芸能人の方が使っていたり、多くのメディアで紹介されていたりします。今までそうした経験はほとんどなかったので、見ると「自分たちが作ったんだ」とテンションが上がりますし、メンバーの自信ややりがいにもつながっているのではないでしょうか。

Yamada

私は内製開発の経験はありませんでしたが、将来的にプロジェクトマネージャーの方向に進みたいと考えていました。開発者目線を知らない状態でマネジメントをしたくないと考え、内製開発を本格的にやっている当部署への異動に応募しました。社会的に大きなインパクトのある案件で内製開発をやりきったことは良い経験になりましたし、将来に向けて大きなモチベーションにもなりました。

Uehara

プログラミングがあまりできなかった私の転機になったのは、技術研修の一環としてベンダー企業の開発チームに参画させていただいたことや外部研修の受講でした。Androidアプリ開発の応用スキルをしっかりと学んだことで技術的理解が飛躍的に進み、自分でコードを書けるようになったのです。さらに「Olive」の開発に加わって経験を積み、いつの間にかプロジェクトのミーティングで説明も担当するようになりました。自分でもここまで成長できるとは思っていませんでした。

Okamoto

日本総研の研修制度はかなり充実していると思います。他社の方に聞いた話と比べても、技術系の研修は業務調整もきちんとできて受けやすいと感じますし、各部署独自の研修も丁寧にしてくれるところが多いんじゃないかなと思います。

Uehara

Vポイントの画面は数年前に作成されたもので、コードを読むのにも時間がかかりました。新しいコードに置き換える取り組みもあって大変でしたが、学ぶことも多く、良い経験になりました。入社以来、日本総研のものづくりの品質向上に自分も貢献したいと思って頑張ってきたので、自分がここまで来られたことに感慨深いものがあります。

Takeuchi

ポイントシステムはシステム自体が複雑であるうえに、初期ローンチから時間が経ち、詳しく知る人が既にいなくなっていた中で、担当したUeharaさんやYamadaさんは大変だったと思います。

06

「Olive」システム開発
プロジェクトから、その先へ

「Olive」の開発はチームにどのような成果や影響をもたらしたでしょうか。

Takeuchi

「Olive」開発という大規模プロジェクトを完遂できたことは、日本総研で内製化をさらに進めていく大きな足がかりになったと思います。「Olive」以降、以前より規模の大きなプロジェクトを内製案件として任せてもらえることが増え、社内・社外の評価を感じています。

Okamoto

チーム内での開発レベルだけでなく、複数のベンダーチームと連携したことで外部のエンジニアと協働する力も高まったのではないでしょうか。日本総研は業務遂行に関して個人の自由度が高い会社だと思いますが、その自由度をうまく生かせるようになったと思います。例えばシステムの仕様調整で銀行の担当者と会話しながら詰めるのか、あらかじめ資料にまとめておいて確認してもらうのか、調整したい内容やその時の状況に合わせて担当者が自主的に判断する。もちろん一方的に決めるのではなく、チームや銀行の担当者などの状況を把握したうえでのことですが、仕事を自分でコントロールできる面白さがあります。

Uehara

「Olive」という影響力の大きい仕事にアサインしてもらえて、それを言われた通りにやるのではなく自分なりに考えて取り組めるのは大きなモチベーションになり、自信にもつながりました。

Hama

私は仕事をしているのが好きなので、何かモチベーションになるものがなくても大丈夫なタイプなんですけど、今回のようなユーザー数がとてつもなく多くて社会的影響力が大きなシステムを作る経験が初めてだったので楽しかったですね。チームみんなで議論しながら作るのも好きでした。

Okamoto

入社年次や経験に関係なく、熱意を持って取り組める人には良い環境だと思いますし、チームとしても大歓迎です。技術力は少しずつレベルアップしてくれればいいんですから。

Takeuchi

三井住友銀行や三井住友カードの担当者と、密に連絡を取りながら開発を進めたことで、常にSMBCグループとしての視点を持つことができました。SMBCグループをITでけん引するTech Companyである日本総研の社員として、一人ひとりが自分のスキルや経験をどう発揮すればSMBCグループの価値を高められるのかを考えることが重要になります。「Olive」の開発でそれをみんなが経験できたのが良かったと思います。

Okamoto

かつての上司が「日本総研の社員は自由だ」とよく言っていたのですが、「Olive」の開発を通じて改めてその通りだなと感じました。案件をどう進めていくかは自分たちで決めていくし、自分が担当する部分は自分で決めていく。その裁量の大きさが日本総研で働いていく中での特徴であり、他社にはない魅力だと思います。