「交渉と紛争解決」と「声楽」。
そのどちらにも惹かれた。
大学では法学部に在籍。「交渉と紛争解決」というテーマを扱うゼミで学んだ。ゼミの内容は、利益が対立した場合、契約に基づいてどう合意を取っていくかという交渉をシミュレーションする、というもの。ゼミのチームで「大学対抗交渉コンペティション」に出場し、優勝を果たしたことが、チームで結果を出す醍醐味を知るきっかけになった。
もうひとつ、私が大学時代に打ち込んでいたのが「声楽」だ。声楽には譜面に描かれていないことを自分なりに解釈してオリジナルな表現を追求していくという面白さがあり、大学時代はかなりの時間を声楽に費やした。「交渉」と「声楽」。正解のないことに対して自分で答えを見出し、道筋を付けていくという意味では、実はこの二つは非常に似ている。これらは今の仕事を選んだ理由にも繋がっており、改めて自分の「やりたいこと」は昔から変わらないのだなと気づかされる。
ITには、文系の視点で提供できる価値がある。
私にとっての大きな発見。
大学3年生の時、文系でもITの知識がこれからは必須になると考え、日本総研のインターンシップに参加した。内容は、参加した金融ビジネスのITソリューションに関する実践的なもの。日本経済の将来を見据えたシステムのあり方や、今後求められるコンプライアンスへの対応の手法などといったテーマで、自分の発言によってチームの中で存在感を示すことができた。このインターンシップへの参加を経て、ITソリューションを通じて世の中に新しい仕組みを創り出していくという仕事に大いに魅力を感じ、日本総研でキャリアを積みたいと志望したのだ。
内定をいただいた後は、時間のある学生のうちにITの知識をもっと深めたいと、基本情報技術者の国家試験の勉強を始め、資格を取得した。
将来のキャリアに期待感大。
ぜひ世の中に新しい仕組みを。
研修後は銀行の基幹システムを担当する部門に配属され、銀行間の資金のやりとりを司るシステムの開発案件に関わっている。インターンシップに参加した際にも少し感じていたことだが、入社後は改めて、大学で法律や政治を学んできたことが自分の武器になるのではないかという思いを強くしている。というのも、職場では自分の考えや意見に関心を持ってもらえることが多く、ITの世界の考え方にまだ馴染んでいないからこそ、新鮮なアイデアを提案できることが数多くあると感じるからだ。また、私が大学のゼミで得た交渉術も自分の強みとなっている。常に相手の行動を予測し、論理的にコミュニケーションを取る習慣が身についているので、将来プロジェクトマネジメントを行う際に、交渉術は自分の強みの一つになるだろう。
ただし忘れてはいけないのは、人は「論理」だけでは動かない、ということだ。周囲から信頼されるだけの人間性も磨いていかなければならない。「論理」と「感情」の両方をうまく使いこなしてこそ、人の心を動かすことができる。それは私が大学時代に打ち込んだ声楽と同じだと感じているし、大きなプロジェクトを率いていく立場の人間にも求められることだと思う。私ならではのスタイルで、ITを自分なりに解釈して表現し、世の中に新しい仕組みを創り出していきたい。