進路を変えた二つの対話。
外交官からコンサルタントへ。
自分はずっと外交官に憧れていた。そのせいもあって大学は法学部に進み、国際政治を学んだ。比較的新しい学問体系で、多くのことに正解が出ていない分野だ。まだ明らかにされていないことにチャレンジできる点にも魅力に感じた。自分のテーマは国際紛争の解決で、内戦の再発防止に関する研究に取り組んだ。3年次の終わり頃、ゼミの教官との会話の中で、外交官になりたいと話すと「君の性格だと官僚組織での仕事には向いていない」と思いがけない答えを返された。しかし「大学院で研究を続けるという選択肢もあるが、民間のシンクタンクも向いているのではないか」というアドバイスもあり、自分をよく知る先生がおっしゃるならとシンクタンクやコンサルティングファームへ進むことを考えるようになった。
日本に国際政治領域を扱うファームはなかったが、インターンシップなどで話を聞くうちにIT系や戦略系などの単一ジャンルのファームより、幅広い領域をカバーする総合系のファームが自分には合っていると感じた。その中でも日本総研に強く惹かれていったのだが、理由は面談で話したSさんだった。他の会社の選考過程で話す社員は人事担当の方が多かったが、Sさんは最前線バリバリのコンサルタントで、大型案件をいくつも抱える現場のトップ。なぜそんな人がこの場にとも思ったが、話し始めてすぐにその聡明さやコミュニケーション力に衝撃を受け、圧倒され続けた。この人の下で働き、成長したいと考え、その場で入社を決意した。
多様なお客さまと向き合い、
自分を成長させていく。
配属を希望したのはSさんが運営副部長を務めていた環境・エネルギー・資源戦略グループ。資源や環境のことは何もわかっていなかったが、Sさんから学びたい、一緒に仕事がしたいという一心だった。希望が叶い仕事をし始めて感じたのは、エネルギーや資源の領域と国際政治との共通点だ。どちらも正しい答えというものがまだ確立されておらず、さまざまな取り組みが繰り広げられているカオスな状況にある。言い換えれば、課題が山積している領域だ。ただ一つの正解があるわけではなく、多種多様な条件下でベストのソリューションを見つけ出していかなければならない。しかし自分にとっては国際政治を学んでいた時と同じく、簡単ではないが楽しく取り組める世界だ。
グループのお客さまは大きく三つに分けることができる。エネルギー供給側の民間企業とエネルギーを消費する側の民間企業、そして官公庁だ。エネルギー供給側の企業としては電力会社やガス会社だけでなく、太陽光発電や蓄電池などを扱うメーカーなど幅広い事業会社が含まれる。私たちが提供するサービスは、国内外の市場調査や政策・制度調査、新規事業開発、事業パートナーの選定など多岐にわたる。時には社内の人事や財務に関する課題にも対応する。一方エネルギーを消費する側の企業としては、社会にある全ての企業が対象となる。逆にこちらはシンプルで、提供するサービスはエネルギー調達に関する戦略立案と環境配慮が求められる社会変化への対応支援の二つが中心になる。社会変化への対応支援とは、温室効果ガスの排出削減策を考えたり、変化する社会における新たな事業機会を探索したりするものだ。官公庁に対する支援としては、国としての政策立案支援およびその前提となる調査業務、自治体の環境やエネルギーに関わる事業をサポートすることが多い。その中で、他業務で知見を得た民間企業の最新動向をインプットすることも多い。官民にわたる幅広いお客さまとの仕事を通じて多様な人と出会い、自分を成長させていくことができると考えている。
創造力と個性を発揮して
課題に取り組むコンサルタントへ。
世の中のコンサルティングファームにおいては、チームを率いるマネジャーがプロジェクトの全てをコントロールし、配下のコンサルタントはマネジャーの指示通りに作業を遂行するということが一般的だろう。一方、日本総研においては1年目も2年目も関係なく、コンサルタント一人ひとりがお客さまと密にやり取りしながら自身のスキルを生かして作業を進めていく。年次や職位、経験値によって分業されることがないため、多様な個性が仕事に向き合うことで多角的な観点からのソリューション構築が可能になるなど、お客さまからの評価も高い。さらに日本総研では、一つのプロジェクトを専門で担当するシングルアサインではなく、常に複数プロジェクトを同時並行で担当するマルチアサインという働き方となる。このようにプロジェクトも職務内容も固定されることがないため、入社1年目から幅広いスキルや経験を蓄積しやすい。
コンサルティング業界は近年の市場規模拡大とともに人材の採用枠も拡大し、大量採用時代が続いている。しかし私は個人の強みを生かせる会社がこれから重要になっていくと考えている。テクノロジーの進化とともに社会や経済が大きく変化し、人々の価値観もさらに多様化する中で、かつてのように画一的な問題解決スキルだけでは通用しなくなり、創造力を発揮して課題に取り組む人材が求められていくはずだ。日本総研はその時代の変化に対応できると思うし、私も自分らしさを大切にしながら、変化にしなやかに対応できるコンサルタントを目指していきたい。