2人を出産後も「チームリーダー」として。
確実に濃くなった仕事の密度。
入社5年目に結婚。その当時はクレジットカードのシステム構築プロジェクトにのめり込んでおり、私はチームリーダーとして、データベース構築を担当していた。入社7年目には関西の交通系ICカード「PiTaPa」の利用明細やポイント確認をする会員向けサイトの構築を担当。「PiTaPa」は、数百万人のユーザーが使用する超大規模システムだ。責任は非常に重かったが、その分大きなやりがいを感じていた。私のキャリアを語る上ではずせないのは、その後2人の子供を出産したことだろう。出産を経験して何よりも大きかったのは、私自身の仕事に対する意識が大きく変わったことだ。上司やメンバーに能動的に働きかけ、任せるところは任せる一方、プロジェクトで何か問題が起こったら、リーダーとしてしっかりと状況を見極め、自ら問題解決に乗り出す。自分のなすべきことは何かをいつも考え、すべての仕事に優先順位をつけて取り組むようにしている。残業ができないという物理的な制限も相まって、出産前と比べて仕事への集中力は格段に高くなった。
保育所のお迎えに四苦八苦
それでも、仕事を大切にしたい。
どんな仕事にも、どうしても想定通りにいかずに突発的な事象はつきものだ。保育園のお迎えは夫と交替で行っているが、どうしても都合が付かず、夫に手を合わせて代わってもらうこともある。それでも、「この仕事を辞めよう」と思ったことはこれまでに一度もない。何百人という多くの人々が一体になって何かを成し遂げる。そんな一体感を味わえる仕事は、他にないと思うからだ。加えて、入社以来積み上げてきたシステムエンジニアとしてのスキルをさらに伸ばし続けていけるという喜びも、私にとっては重要なことだ。どんな業界で働いても、いつも楽しいことばかりではないだろう。それならば、私はここで頑張りたい。なぜなら、ここが自分が一番輝ける場所だと思うからだ。
仕事と家庭は、
50:50じゃない。
日本総研では、男女を問わず「ワークライフバランス」の概念はすべての職場に浸透している。ただし、仕事と家庭の比率が常に「50:50」というわけではない。仕事が佳境を迎えている時には「70:30」ということもあるし、仕事が落ち着いているときは「30:70」という具合に、臨機応変に仕事と家庭のバランスをコントロールしているというのが実際のところだ。「仕事と家庭の両立をされていてすごいですね。さぞかし大変でしょう」とよく言われるが、実際にやってみると、案外辛くはない。私の場合、独身時代は仕事とプライベートの切り替えがうまくできないタイプで、家に帰ってもなかなか安らげなかった。しかし今は、家に帰れば子供の世話や家事が待っている。仕事を引きずっている暇はない。頭の中がしっかりと切り替えられるようになったことで、逆に気持ちの面では以前よりもずっと楽になったと思う。頑張りすぎず、肩ひじを張らず、働き続ける。これからはそうした生き方がもっと当たり前になっていくのではないだろうか。