金融とITは、双方とも「グローバル」。
世界を視野に働きたい自分にとって、最適の選択だった。
昔から銀行の仕事に関心を持っており、大学では金融決済システムを研究テーマに選んだ。社会インフラとしての金融システムを安定的に稼働させるための仕組みづくりを理論的に学ぶという内容で、文系の学部だったものの統計や数学にも取り組んだ。そうした背景から、就職活動では「金融×IT」という軸から日本総研が第一志望になった。金融とITの共通の魅力は、どちらもグローバルな点だ。双方とも世界共通のビジネスとして、そのスキルは世界中のどこにいっても通用する。グローバルに活躍したいという思いもあり、世界に活躍の場を拡げているSMBCグループのIT企業として、日本総研は、まさに自分の志向にぴたりと当てはまる企業だと感じた。また、グループ内のIT企業だからこそ、高度なシステム品質を保持できる環境がある点も決め手になった。
入社後は研修期間を経て、配属後、世界中の銀行拠点と連携してマネーロンダリングを防止するシステムの開発に携わった。実務経験を積むにつれ、自分が関わった海外拠点のシステムが現地で働く銀行員にどのように使われているのかを知りたい、という思いが深まっていった。
上海で研鑽を積んだ2年間。
「スピード=善」と考える中国の文化に刺激を受けた。
入社4年目、会社が用意している「海外トレーニー制度」への応募を決意した。「海外トレーニー」とは、海外拠点に若手社員を派遣し、実務経験を通じて現地の金融知識や開発スキルを習得させるという制度の一つだ。トレーニーと名が付いているものの、決して研修のようなものではなく、ITプロフェッショナルとして現地の業務に深く関わることが求められる。上海に配属され、三井住友銀行の中国拠点向けにRPAと呼ばれる自動化技術を使ったシステムの企画や開発に携わった。
現地ではシステム導入業務はもちろん、それに伴う様々な業務改革の支援を担当させてもらった。業務を効率化するために障害となっている問題の解決や、システムを効率よく運用するツールづくりまで、システム開発以外のことも幅広く手がけていった。
上海赴任で最も感じたのは、スピードを善とする中国の文化だった。慎重さを重要視している日本のシステム開発に慣れた身には「とりあえずやってみる」という彼らの姿勢にはいつも驚かされた。一方で非常に刺激を受けたのも確かで、我々日本総研チームは彼らの声に寄り添いながら開発とレビューを繰り返していった。東京と海外でのシステム開発における価値観の違いをリアルに学べたことは、自分にとってとても大きな収穫だったと思う。
ビジネスアナリストとして、社会課題の一つ
「マネーロンダリング」分野の第一人者を目指す。
1年間の海外トレーニー制度終了後、私は赴任前の部署に戻り、ビジネスアナリストいう立場で、分析したデータを元にどのようなシステムを構築すべきかを三井住友銀行に提案する業務を担当している。
ビジネスアナリストとして常に肝に銘じているのは、ユーザーの要望を受け入れるだけでは、システム開発の「最善策」を提案したとは言えない、ということだ。業務・システム双方のトレンドを熟知することはもちろん、その上で「あるべき姿」を描き、ユーザーとビジョンを共有し、議論を重ねた上で納得いただくというプロセスを丁寧に踏むことを心がけている。自分の提案を採用いただき、ユーザーから「この提案を採用してよかった、ありがとう」と感謝の言葉をもらうことは、私がこの仕事に向き合う原動力となっている。
私が携わるマネーロンダリング分野は、金融のグローバル化が進んでいる今、各国が連携して取り組まなければならない社会的な課題の一つだ。残念ながら金融技術の進歩に合わせて手口が巧妙化しており、関連するシステム開発のニーズが高まっている分野でもある。SMBCグループのグローバル化が加速化する今、日本総研のマネーロンダリング開発チームは、ユーザー企業に非常に近しいITのプロフェッショナル集団として今後はさらに密接に協業していくことになるだろう。上海トレーニー時代に学んだスピード感を持った対応力と統率力を武器に、社内におけるマネーロンダリングの第一人者と呼ばれるよう、これからも研鑽を積んでいきたい。