プロジェクトを渡り歩く。
自分を更新する都度、蓄積されていく普遍的な力。
銀行業務は数百を超えるシステムが有機的に結合して造り上げられており、入社後にシステム構成図を見た時、その規模に驚愕したのを今でも覚えている。それぞれの領域は業務・システム双方に精通したプロフェッショナルが支えているが、私のキャリアは特定の領域に留まらず、2、3年毎に全くバックグラウンドの異なるプロジェクトを担当してきた。元来新しいもの好きだからか、積み上げてきた人脈や知識が通用しない状況下でリスタートすることに抵抗感は無かった。入社3年目の最初の異動の際も、日本銀行の国債・当座預金をオンライン処理する接続システムを、全国の金融機関が一斉に洗い替えるというクリティカルな内容に使命感に燃え、専門知識を有するITベンダーやユーザーと1日も早く対等に折衝できるよう、プロジェクトに邁進した。
変化に身を置く中で、全体最適の目線で最善のアプローチを考え抜く姿勢、ゴールまでの道筋を描いて推進していく粘り強さ、そして多種多様のプロジェクト管理技法といった、どの現場でも通用する普遍的なスキルが着実に自分に蓄積されているのを実感している。特定の専門性を持たないことにコンプレックスを感じることもあるが、自分の軸を信じて日々新たな課題に取り組んでいる。
入社6年目、グループ内の銀行に出向。
システム統合プロジェクトに銀行員として参加。
私のキャリアの転機は、入社6年目にグループ内のある銀行に出向した時に訪れた。当時、銀行内のシステム統合プロジェクトの体制構築のため、私は日本総研の上司である敏腕プロジェクトマネージャーとともに、ユーザーである銀行の立場として統合プロジェクトに参画した。グループ各社からの混成チームであるシステム統括部署の中で私は最年少だったが、各社経営層が一堂に会した重要会議の運営や、全行員が参加するリハーサル・事務トレーニングの企画など横断的な役回りを担当。日本総研の開発部隊に支えられながら無事にプロジェクトを完遂することができた。システムを活用し銀行という事業をどう機能させていくのか、1人の銀行員としての目線からシステムの意義や目的を深く捉え直すことができたという点でも得がたい経験だったと思う。
また、成長の機会と裁量を適切に与えてくれ、要所を締める上司のマネジメント手腕は自身のロールモデルとなった。徹底した期限管理、コスト管理の難しいプロジェクト状況下で、銀行業務とシステムを結びつける重要な役割を果たしている日本総研キーパーソンの活躍も光っており、社員一人ひとりの個の強さを改めて実感する機会にもなった。
金融業界のデジタル化が加速する今だからこそ、
日本総研が果たす役割が注目されている。
2年前からは、銀行の「顔」とでもいうべき銀行の個人顧客向けのウェブシステムを刷新するプロジェクトに参画し、プロジェクトマネジメントを担当している。日本総研としても最大級の投資額となる超大型プロジェクトで、ユーザー部門や国内外のITベンダーを含めると何百人というステークホルダーが関わっている。まるで巨大艦船のような組織を舵取りするのはもちろん容易なことではないが、銀行の攻めのデジタル戦略を加速化するためのITトランスフォーメーションを達成する重要なミッションを持つ案件であり、日本総研が果たすべき役割を常に考え、チームメンバーにも働きかけを行っている。
金融業界のデジタル化が加速化する昨今において、グループ内における日本総研の役割はますます重要視されるようになるだろう。社内においても、「SMBCグループのテックカンパニー」として、最新技術の知識獲得や活用の機運が一層高まっており、これからは今以上に新しい、そして大きなチャレンジが待っているに違いない。